CONTAX G1 + Planar 2/45の常用フィルム

デジタルカメラ全盛の現代でも、いまだフィルムの選択の余地がある。写りの美しいフィルムは、やはりおおむね値段が高い。せっかくフィルムを使って写真を撮っているのだから、多少の値段の高さには目をつむろうと考えていたが、それでも安いに越したことはない。

いろんなフィルムを試してきて、いざという時に一番頼りになるフィルムは、富士フイルムの natura1600だ。このフィルムを+2段の設定にした時の安定感は絶大だ。自然な雰囲気の写真がどんな状況でも撮れる。

晴天下での撮影でも、室内での撮影でも、どちらも同じように手持ちで撮影できるのはとてもうれしい。難点を言えば、1本あたり750円程度というのが、常用フィルムにするのを妨げている。

もう一つの常用フィルム候補は、Kodak のSUPER GOLD 400だ。まとめ買いをすれば、1本あたり290円前後で使えるので、精神的には大変楽である。しかも値段の割りに、自分の気に入った写りをしてくれるので、普段使いには最適である。暗い室内での撮影さえなければ、このフィルムで決まりだろうという感じである。

f8くらいで撮影したもの

f8くらいで撮影したもの

CONTAX G1 + Planar 2/45 との相性がよいのか、発色の良さと、肌色の良さが気に入っている。富士フイルムのスーペリアプレミアムはたまに肌色が赤みがかる時があるので、こちらを選ぶ機会が増えている。値段も半分くらいで済むという理由もある。

リバーサルフィルムでは、値上げ前の velvia100を使っているが、これが在庫僅少になりつつあるので、今後どうしようか思案中だ。1本1000円近くするフィルムを気軽に使うにはかなり勇気がいる。

最近手に入れたフィルムの中で、富士フイルムが海外でのみ販売している C200というフィルムに注目している。値段が1本あたり208円と安いのに、写りは悪くないという評判なので、現在試し撮りをしている最中だ。撮り終わるのを楽しみにしている。

写真のボケの魅力

最近、いわゆるスマホ世代の若い人たちに、CONTAX G1 + Planar 45mm/F2 + natura1600 で撮影した写真を見てもらう機会があった。暗い室内の撮影のため、F2.8くらいの開放気味で撮影した写真を見せたところ、「立体的」、「トイカメラのよう」、「ボケが良い」という評価があった。自分としては、手前の人物も奥の人物もピントが甘くなっており、集合写真としては不合格だなと思っていたが、スマホのカメラに慣れている人たちには、新鮮に映ったようだ。特に、皆の評価が、ボケに関する部分に集中していたのが印象に残った。つまり、若い人たちの所有するカメラでは、なかなか表現できないものが、ボケなのだろう。そもそも、ボケとは日本特有の文化のようだ。というのも、英語のWikipediaにも「Bokeh」として、項目が載っているのだ。Bokeh is the blur, or the aesthetic quality of the blur, in out-of-focus areas of an image. と書いてある。かつて、どこかの文章で、欧米では、被写界深度が深い方が好まれると読んだことがある。よく見えない、あやふやな、ぼんやりしたところに意味を見いだすというのは、いかにも日本的らしいのだろう。その「ボケ」のところに、若い人たちがもっとも注目するというのは、日本人らしさを考える上で非常に興味深い。

カメラとレンズの寿命

昨晩、息子がデジタル一眼レフカメラが欲しいと言い出した。フィルムカメラだと現像代がバカにならないからだそうだ。一晩考えて、自分が現在使っている、SIGMA DP1を息子に譲ろうかなと考えていたところ、息子が学校から帰ってきて、中学に入ったら写真部に入部するつもりだと話してきた。写真部では、デジカメを使う必要があるそうだ。DP1の譲渡を話したら喜んでいた。ちょうど良い機会だったのだろう。

先日どこかで読んだ文章の中に、カメラやレンズを所有するのはたかだか数十年だが、カメラやレンズの寿命はそんなに短いものではない。自分の手元に、ある期間、借りているだけなのだ。そう考えるべきだ、とその文章は言っていた。DP1は私の手元を離れても生き続けるし、それだけの価値のあるカメラだと思う。そしてまた、ムイから譲り受けたCONTAXのカメラも同様なのだろうと感じる。いつかはまた、私の元を離れて、別のところで使われるべきなのだ。その一瞬の間、大切に使うべきなのだろう。

浦賀道、八坂道、歩道橋の上に続く階段

横須賀には、いかにも横須賀らしい階段がたくさんある。そのうちの中で、古道が階段として残っているものがある。一番左の写真は、浦賀道の枝道だ。その隣の写真は、八坂道という古道が階段になっている。最後に、国道16号線に架かる歩道橋の中央部分から、さらに上に伸びる階段を紹介する。歩道橋からさらに上へ伸びる階段は、他ではあまり存在しないのではないだろうか。

階段には上も下もある

横須賀は、トンネルや坂が多い。トンネルや坂だけでなく、階段も多い。しかも、他にはちょっと見当たらないような、魅力的な階段がいくつもある。そうした心惹かれる階段を紹介していく。

黒白写真続き

黒白写真にすることを前提に、昨日DP1で写真を撮る。RAWデータで撮影したものを、TIFF出力し、チャンネルミキサーするのが一番良いようだ。フィルムカメラで黒白写真を撮影することは、現在いろいろとハードルが高いが、デジタルカメラで自己現像し、黒白写真に加工することはそれほど手間ではない。ラチチュード、階調ともに、デジタルとしては頑張っている方ではないか。

黒白写真(モノクロ写真)

黒白写真(モノクロ写真)のテストを行う。

左の画像は、カラーで撮ったものを、gimpでチャンネルミキサーを行い、黒白写真で出力したものだ。右の画像は、SIGMA PHOTO PROのホワイトバランスで、モノクロームを選んだものだ。かなり印象が異なるが、自分としては、gimpのチャンネルミキサーを使ったものが自然に感じられる。これならば、鑑賞にたえうる。

最近ずっと黒白写真について考えていた。そこで気づいたのだが、フィルムカメラで黒白写真を撮る場合、ファインダーから見えるものは、カラーだということだ。一方、デジタルカメラで黒白写真を撮る場合、液晶画面に映る映像はすでに黒白写真だ。つまり、フィルムカメラで黒白写真を撮るときは、頭の中で、黒白写真に変換する必要があるということだ。これは、同じ黒白写真を撮るということでも、過程がかなり異なる。

少なくともフィルムカメラで黒白写真を撮るときには、頭の中で、黒白写真のできあがりを想像しなければならない。これが写真の結果に影響を与えるであろうことは想像に難くない。

最近デジタルカメラで黒白写真を撮るときには、まず、構図を重要視する。構図ありきだ。色彩がない世界では、画面の中の配置に注意を払う。そういう意味で、黒白写真で撮ることに大変意義を感じる。

DP1ホワイトバランスと黒白写真

DP1を使い始めて3年半ほどになるが、まだ使ったことのない機能がある。

今まで、ホワイトバランスはほとんどオートで撮っていて、現像でもオートを使い、いわば撮って出しの状態だった。たまたま、雨の写真が撮りたくなり、ホワイトバランスを変えて撮影したところ、印象がまるで異なることに気づいた。今後はもっとこまめにホワイトバランスを変えようと心に決めた。それだけで写真の印象がずいぶんと変わる。一番左の写真が、ホワイトバランスがオートの設定で、真ん中の写真が、くもりの設定だ。くもりの設定の方があざやかになっている。

もう一つは、DP1の黒白写真の機能とワイド(ハイビジョン)サイズの機能だ。いつもRAWデータで撮影しているので、実行できなかったのだが、JPEGで撮影すると、黒白写真やサイズの変更が可能になる。今回ほとんどはじめてJPEGで撮影を行い、せっかくなので、APSで見慣れたハイビジョンサイズで撮影し、さらに黒白写真にしてみた。やはりハイビジョンサイズは好きなサイズだ。白黒写真はもう少しラチチュードがあると良いかなと感じる。

レンズを向けることと銃口を向けることはどこか似ている

森谷修著 「ライカの魔法」の中の一文だ。

図書館で借りた森谷修著「ライカの魔法」を読了する。著者は、CONTAX G用レンズを改造してライカに装着している。そして、CONTAX G用レンズを賞賛している。CONTAX G1ユーザーとして、自分のことのようにうれしい。ライカの本を借りたつもりだったが、期せずしてCONTAX用レンズの話を読むことができた。

他に、散歩カメラの方法が書いてあり、参考にする。この本に書いてあったチョークバックをモンベルに買いに行くほど参考になった。モンベルのチョークバックにG1を入れたところ、ちょうどすっぽり具合良く収まった。これも思いがけない収穫だった。

さらに、塩沢兼人のエピソードが大変興味深かった。自分の好きな声優さんのポートレートエピソードを読み、往時を懐かしむことができた。そのエピソードの中に書いてあったのが、題名の一文だ。「レンズを向けることと銃口を向けることはどこか似ている」。レンズを向ける時間をできるだけ短くするという撮影スタイルは、今、自分が目指しているものだ。これも大いに参考になった。

結果として、偶然読んだ本だったが、とても印象に残るものとなった。

 

最新のカメラが最も良いカメラだとは限らない

先日、女子大生のみなさんに、カメラの仕組みとカメラの選び方、初歩的な写真の撮り方を講義する機会があった。つまらない顔をして話を聞くと思っていたら、熱心に話を聞いてくれて、かつ、質問も頻繁に出た。写真を撮る目的がはっきりしている人もいて、女性にもカメラが人気だというのは本当なのだなと実感できた。

その時の話の中で、どういうカメラを選ぶべきかという話が出た。スポーツを撮りたいという女性に対しては、レンズやシャッタースピードの話をし、そこから自ずとカメラのボディの選択肢がせばめられると話した。いずれにしても、困ったら一番新しいものを選ぶというのはやめなさいと忠告した。実際に手に持って、手になじむものが良く、さらに周りのカメラに詳しい人に、歴代の名機を聞いてみるのも方法だと説明した。被写体からレンズを連想し、そこからボディにたどり着くというやり方もある。

自分自身、現在使っているカメラ群の使い勝手が非常に良く、新しいものに買い換える気持ちがさらさらない。主に使っている機種は、以下の通りだ。

  • SIGMA DP1 (無印)
  • CANON EOS 55
  • CANON IX E
  • CONTAX G1
  • CONTAX Tix

これらのカメラはいずれもだいぶ古いものだが、自分としては満足のいく写りをしてくれる。DP1は、驚くべきすごい写真を撮ってくれる。三振もあるが大ホームランを打つカメラだ。EOS 55と EOS IX Eは、一番手に馴染んでいる。CONTAX G1は、自分で撮影して言うのもなんだが、魂のふるえるような感動的な写真を撮ってくれる。そして、G1とTixは、どこか懐かしい写真が仕上がってくる。

自分が使っているカメラはいずれも十分に古いカメラだが、撮影していてとても楽しい写真を撮ってくれる。最新のカメラではなく、撮影していて楽しいカメラを選ぶと良いのではないかと、女子大生の皆さんには、最後に話した。女子大生のみなさんが、どういうカメラを選ぶのか興味深いが、何はともあれ、楽しいカメラ生活を送ってほしい。