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田中一村展

知人の勧めがあって東京都美術館の田中一村展に行ってきた。奄美大島好きとしてぜひとも見たいと思った。彼の生い立ちや経歴など一切知らずに鑑賞しにいった。ただ知っていたのは、将来を嘱望されていたのにそれを捨てて職業画家として生計を立てていたこと、そして奄美大島で晩年暮らしていたことだった。本来ならばもっと画壇に認められて芸術家として成功していただろう。後年なかなか入賞できなかったところに彼の無念を感じる。一方で彼の作品世界が独自に発展していったこと、特に奄美大島という環境が彼の作品世界に影響を与えたことを考えると、この芸術的発展が正しかったことを理解する。奄美大島の空気や土を写真以上に描写している。現物を見てそれを感じる。彼の作品を見て、感動するとかしないとか、良さが理解できるとかできないとかあるだろう。感動という薄っぺらいことばよりも、芸術家という価値観よりも強い、生々しい生き様が南画や絵画として残されている。